心から好きだと思える人がいた。そんな人に出会えたこと、これからもずっと誇りにしたい。

それから。

結局、彼と美鈴の関係は何も変わらないと言えば変わらなかった。元々どちらも兄妹としての揺るぎない信頼があったのだから、その絆にヒビが入る事はなく、かざみの方も以前の美鈴の告白については触れなかった。それが彼の優しさであることを知っていた美鈴も、触れなかった。
その優しさはある意味どこまでも残酷で時々胸が痛んだりもしたけれど、彼が一生懸命出してくれた答えだったのだから、それを壊したくはなかった。それでも前よりちゃんと、笑えているような気がした。

「そういえば、最近柳とメールしてるって聞いたんだけどホントに?」
「ええ、彼が言っていたんですか?」
「なんかアイツ凄い嬉しそうに言うんだよ。確かにアイツはいい奴だけど……、いやでもだめだ、アイツでもだめだ」
「……かざみさんってけっこーシスコンだよねえ」

以前嫌いだと言ってしまった彼女が、横で的確に突っ込む。確かに言われてみれば、彼は少々心配性すぎる気がしない事もない。メールだって、たわいない話だというのに。きちんと話してみれば、思っていたより話しやすい人だとは思ったけれど。
そんな事を考えていたら、彼女はささっとこちらに近づいてきて、自分にしか聞こえない音量で呟いた。あのね、と。
ちはやに謝った次の日、彼女にもきちんと謝ろうと連絡を取ったら、ごめんねごめんねと泣くものだから結局こちらもまた泣いてしまって。二日連続泣き続けたけれど、泣いたら随分とすっきりした。アンタは溜め込みすぎだったのよ、とちはやに言われ、確かにそうかもしれない、と思った。

「今度、私も告白してみようと思うの」
「え?」
「美鈴が彼を好きな事、気付かずにいたことで傷つけてきたのに、私だけ逃げてるのってフェアじゃないと思うんだよね。恋する乙女同盟ってことで、一緒にがんばろ?」
「でも、私……」
「好きな気持ち、大事にしようよ。無理に忘れなくたっていいんだ」

彼女はそう言うと、真っ直ぐな視線を向けた。自分にもそんな強さは、あるだろうか。

「――――うん、そうだね」

愛した人がいた。心から、愛しいと思った人がいた。それは叶わずに終わってしまったけれど、伝えてよかったと今、心から思う。

葉も花も、やがて枯れる。 そうしてまた咲くのだ。

Blue Rose

(花言葉は不可能なこと/神の祝福)

さよならの代わりに精一杯の愛を / top /